沈黙の力

最初は恥ずかしくて何も言えず、沈黙が広がっていた私たち。
それを何とか埋めようと、他愛ない話をしては沈黙を消していました。
しかしその作業は嫌だとか苦しいものではなく
それも含めて彼に対する愛情表現だったのです。

そして彼とは縁があってお付き合いをすることとなりました。
それからは彼と自然と会話が盛り上がるようになりました。
始終笑っていたような気がします。
付き合いが長くなってくると、自然と一緒にいても別々の事をしている状況も生まれてきました。
それは当然のことだとも思いましたし
そこに流れる沈黙は決して気分の悪いものではありませんでした。
沈黙を共有し合えていることで満足感さえも覚えていたのです。

彼との交際は3年以上続きました。
距離感も良い感じであったと思いますし、お互いのペースというものも
つかみ合っていたと思います。
しかし、私たちの間に、妙に重たい沈黙が流れるようになりました。
言葉で埋められない力さえ感じるような沈黙。

一緒に居たくない。
それぞれの場所でそれぞれの時間を過ごしたほうがよいのではないか。
と示唆させるような沈黙でした。

私たちが別れたのはそれから直ぐのこと。
沈黙には色々あって、それぞれの力があるんだと改めて思いました。